DELE口頭試験の詳細4

前回から引き続き、C1レベル口頭試験の詳細ですが、今回はTarea3の即興シミュレーションロールプレーイング又は茶番劇についてのあれやこれやです。(「DELE口頭試験の詳細3」の続きです)

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DELE口頭試験レベルC1:Tarea3


内容:

面接官1人を対話相手として、交渉や取り引きという模擬シーンにおいて、合意に達するまで会話をすすめていくという、即興のシミュレーションロールプレーイング。具体的には、事前に提示される考慮すべき条件・指示・基準などを基に、4つの選択肢(写真や候補者)の中から、話し合いや議論をしながら、二人で1つを選ぶ。

評価されるとこ:

交渉したり合意に至ることを目的に、考えを交換したり、意見を表現し正当化したり、又は評価を下したりできるのかどうか。

実際の今年2015年5月のC1レベルDELE口頭試験時のケース

出されたお題:

18歳(成人)になる私達の息子に贈るプレゼントを選ぶ。

(※スペインでは成人は18歳以上)

ーふんふん・・・え!?夫婦設定!?

こんなのはじめて!!の設定です。

大体いままで、想定してきた設定は、同じ学校の教師同士、会社の同僚同士、なんかの委員会とか団体の職員同士、ビジネスパートナー同士、などの間柄の対話相手と、ビジネスシーンや職場の会議での話し合いや交渉の中で、企画や商品、キャンペーンやパンフレットやホームページの為の写真などを選んだりするものが多かったです。

例えば、以前に実際の試験であったもので覚えているのは、同じ学校の教師同士で、一定額の予算の使い道を決める、というものでした。選択肢は、テニスコート設置、授業への電子本導入、高性能な電子顕微鏡導入、(あともうひとつは忘れました)などでした。その時はなんと、そんな土地の余裕があるのか?には一切触れられず、テニスコートに決まりました。

なので、まさか、ここで、☆ファミリー設定☆出てくるとは予想外でした。対策本でもみたことありません。

提示された考慮すべき事項:

①親の希望⇒息子、少しチャランポラン気味だから、もう少し成長して責任感とか持つようになってほしいなあ・・・

②家には既に2台の自家用があります。

③家には既に1台高性能のデスクトップPCがあります。

(あと1~2個くらいあったような気がするけど忘れました)

選択肢4つ:

①タブレット

②かっこいい大型2輪バイク

③運転免許証(を取得する費用)

④子犬

仲良し夫婦設定か、ちょっと関係が冷えた感じの夫婦設定か・・・とか考える余裕はなく、さあ、スタート、となりました。

試験官「なにがいいと思う?」

ー運転免許証がいいと思う。理由は、成人を迎える息子が、大人の象徴である運転免許証を持つことで、責任感が芽生えると思うから。

ま、免許取っても乗るものがないと意味ないけど、それは後で自分で稼いだお金でバイクでもなんでも買えばいいんじゃないか。(と、家に車2台ある設定を忘れて言ってしまった)

試験官「じゃあ、バイクにする?」

ーバイクの前に、運転免許証持ってないと意味ないし・・・。仮に、バイクをあげて、自分であとから免許証を取ったとしても、道路を走るということに慣れてない初めのうちは、バイクはすごく危険だと思う。若者のバイク事故は多いから(勝手な想像)。免許取りたての頃は、車で慣れた方がよいと思う(ここで自家用車2台ある設定思い出す)

で、うちにはもう車が2台あるんだから、結局、やっぱり、初めに言ったように、運転免許証、が一番いいと思う。

試験官「ところで、子犬を飼うのも、責任感がつくんじゃない?」

ー確かにそれもいいかもしれないけど、初めの内は世話したとしても、最終的に私達親が面倒みる羽目になるだけかもしれないから、あんまり責任感とかつく結果につながらないような気がする。

試験官「でも、タブレットでもよくない?」

ー家に、もう既に1台高性能なデスクトップPCがあるから、学校の課題なんかもそれで済むし、スマホも持ってるんだから(勝手に持ってることにした)、今回のプレゼントではタブレットはいらないんじゃない。それに、そういう分野に詳しい世代の子だから、タブレットこそ、欲しくなったら自分でバイトでもして自分の好きなのを買えばいいと思う。実際、持ち運びができるし超便利だけどね・・・

だから、最終的に、やっぱり、この4つの中で、今成人になる息子に一番有益で最適な贈り物は、大人の象徴(再度強調)、運転免許証、しかないと思う。

試験官「ふん、そーね、じゃ運転免許証で決まりね。」

ーうん、決まりで。

以上

ここでも、このような上の文面から、流暢さを差し引いて、でも、内容はほぼこんな感じでした。

みなさま、夫婦設定も、一度は練習しといて損はないです。

自分も、次また夫婦設定に当たったら、「mi amor」「cariño」「mi cielo」「mi vida」などの愛情たっぷりの呼びかけを使って茶番劇に深みをもたせ、得点アップにつなげたいと思っています。

あッ!!こんな楽しげな課題は、C2にはないのだった・・・

 あたる試験官の性格の善し悪しは重要か?

この即興茶番劇、なかなか手強いです。

これまた、あたる設定に出来が左右される課題だと思います。でもここは、妄想を最大限に膨らませて様々な設定の練習経験値を上げていくのみだと思われます。

それよりも、出来の善し悪しにかかってくるポイントで個人的に注目しているのは、対話相手となる “試験官の性格・性質” です。

採点の甘さ厳しさもそうなのですが、それより重要なのは、こちらがやりやすいように事を運んでくれる親切な人(試験官としては未熟?)かどうか、だと思います。

例えば、こっちの意見にことごとく反対して(それが試験官の仕事ですが)最後まで意見を曲げない試験官の鏡のような鬼試験官、長ーい意見を述べて感想を求めてくる試験官がいたり。

かと思えば、こっちの意見に、いいねそれ、みたいな歩み寄りをベースに、でも、たまに、こっちの選択肢はどう思う?みたいなのも挟んで、試験官としての任務も果たしつつ、こちらがリラックスして話しやすい良い感じの話し合いになるように進めてくれる試験官がいたり。

ほんもののビジネスシーンでは、容赦ない討論が繰り広げられるのだから、スムーズに行かないやりにくい場合の対処法や相手を説得できる話術などを身に付けておくのはすごく為になることだとはわかっていながら、単なる検定試験なのだから、優しくなくてもいいからせめて意地悪い(被害妄想)のはやめてほしい、などと空虚な希望を抱くわけです。

しかしながら、試験官に左右される、なんてことがわかってても、優しい自分に都合のいい親切な人に当たりますように、と日々祈ること以外できないので、他の対策をとるしかありません。

そして、ここでできる対策としては、自分サイドの心構えの改善、だと思います。

自分サイドのことだから、自分でコントロールできる範囲のことだし、どんな対話相手(試験官)に当たろうが、どんな茶番劇設定に当たろうが、ここをしっかりしとけば、外部からの影響力を最小限に抑えられるからです。

例えば:

心構え①:決して黙らない

は当然のこととして、これに、試験官としては有能な、しかし受験生にとって不親切な試験官に当たっても、どーってことないように、新しく加えた心構えポイントは:

心構え②:どんなことがあろうと、自分が初めに決めた1つの選択肢を最後まで譲らず押し通す。闘う。

それまで、対話相手が、意見を押して来たら、そーねよく考えてみたら一理あるわ、って納得させられて、その相手の意見に賛成して終わり、みたいな流れで行ってたけど、そう賛成ばかりしてると、相手の言っていることを少し表現変えて繰り返すぐらいしか、話すことがあまりなくて、なんかつまってしまうことが多かったので、本心でなくても無理やり反対意見を押す路線でいこう、と決めてやってみました。

やはり、反対意見を言うときは、自分のストックの中からあれやこれやを出してこないといけないから、自然と普段からいろいろな意見パターンをストックするように心掛けるようになるので、そういう風に練習するだけでも、いろんな面でも良い効果がありました。

 ◆結局

ところが、この心構え②を実際のこの5月試験で実践してみたのですが、たまたまその時あたった試験官が、“とても親切な人”だったんです。

つまり、私の意見に、ぜんぜん強く反対してくれなかった、という・・・

だから、強い意志を持って自分の意見を押し通す必要性もまったくなく、スルッと意見が通った・・・

ていう、話でした。

次は、レベルC2のスピーチ課題についてです。

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