DELE口頭試験の詳細5

少し前に書いた記事で、C2レベルのDELE試験対策をしているらしい学習者のスピーチ動画を掲載したことがあるのですが、最近試験対策本を寝転がってペラペラめくっていて、その中にある課題を基に構成したスピーチだということに気付きました。(スピーチ動画はこちらの記事参照願う⇒「DELE口頭試験のモノローグ(スピーチ)対策」へ)(前回記事はこちら⇒「DELE口頭試験の詳細4」)

スポンサーリンク

同じ課題でやってみた自分のスピーチとの比較


EDELSA出版のC2レベルDELE試験対策本(Preparación al Diploma de Español, Nivel C2)のexamen2prueba3口頭試験パートのtarea1(47~51ページ)に出題されているテーマ:

「LA VIDA EN LAS CIUDADES」(都会での生活・アーバンライフ)

と、スピーチ準備の為の参考として提示される関連資料を見てて、あれ、なんかこの内容知ってるな・・・と思った10秒ぐらいあとに、その動画の存在を思い出しました。

お、これは、もはや内容をあんまり覚えてないその動画を久しぶりに見直してみる前に、一度自分でスピーチを準備して録音してみよう、そして、彼のスピーチと比較してみよう、と思い立ちました。

比較した結果はどうなるか大体予想できたけど、こわいもの見たさ、そして、独学者にとってはめったにない他の学習者との背比べのまたとないいい機会だとの浮かれた思いからやってみたのですが。

じらす意味がどこにもないから先に言ってしまうと、結果は、自分の全細胞が知っていたけど、こちらの完全なる惨敗です。比較しようなんて身の程しらずもいいとこ、というフレーズがぴったりきます。

でも、このようにどんな結果が待ち受けていようとも、実際に一度自分で課題をやってみてから、そのあとに、答え合わせみたいな感じでスピーチ動画を見てみると、自分の不出来さ足りなさをシミジミ感じれてナイスでした。その上、自分のスピーチの改善点の数々も、ブワァッと明らかになります。

収穫はそれだけに留まらず、さらには、結構省いてるな~、とか、その大事そうなポイントをそんなにあっさり素通りするのもありなんだな~、とか、別に全部のポイントに触れなくても話しやすいとこだけつまみ上げでいいのかなあ?とか、こんなに気さくに自分の意見混ぜ込んでいいんだな、とか、比較対象のいない始終ひとりぼっちの独学者には色々勉強になります。

でも、結局これも単なるいち学習者のスピーチなので、大正解な形ではないだろうし、個人的には合格点もらえるレベルのものだと思うのだけど実際はわからないし、それにこの方も結構な準備をしてから挑んだはずだから、実際の試験での30分の準備時間ではこんな風にならないかもしれないし。

だけど、そういうことを念頭に置いてさえいれば、こっそり盗んだいろいろな表現・言い回しやスピーチの流れなどを自分のストックとして貯蓄するには、こういう感じのものも、ありがたき良き参考材料だと個人的には思います。

ま、録音した自分のスピーチは、我ながら聴くに堪えない酷いものでした(公開不可能)。

具体的な課題内容

ところで、この課題(DELEC2口頭試験tarea1)では、テーマの他に、前振り説明、スピーチに含むべき3~4つの点、グラフ・図表・図解などからなる2つの資料と2~3個のテキストの合計4~5個の関連参考資料が与えられ、それらを基に6~8分のスピーチを構成します。

  • テーマ
  • 前振り説明
  • スピーチに含むべき点:3~4つ
  • グラフ・図表・図解などからなる資料:2個
  • テキスト:2~3個

そう、つまり、情報過多氾濫状況の中から、適切なものをピックアップしてまとめなければならないのです。なにこの脳内激務。

ここでまず第一に、そのメモというか草案作りに画期的な工夫が必要であることに気付きます。

C1レベル(準備時間20分)の時のたったひとつのテキストのメモの取り方にさえ、うんうん唸ってたのに(なにひとつ改善できずにここまできてしまった)、おしゃべりな4つの資料を前にして、30分でスピーチを準備せよ、となると、手も足も出ない状態です。

ちなみに、今回やった自分のスピーチ準備、30分どころか、2時間くらいかけてしまいました。別に自分のテリトリー(家)内だからといってぐうたらやったわけではありません。でも、練習だからいいんだい、自分なりの効率のいい準備の進め方やメモの取り方とかを研究してる段階だからいいんだい、という思いがあったことは認めます。

つまりは、いまこそ、一枚の紙に、スピーチ発表時にちらっとみるだけで理解できるような形で、少ない文字数でまとめる練習をする必要性があります。自作記号の導入に真剣に取り組まなければいけません。それができなければ、30分間というリミット有の環境ではなんも無理なような気配がします。

話が逸れましたが、スピーチ内で必ず触れなければいけない3つの点と4~5つの参考資料がある、という話に戻ります。その内容のスクリーンショットをとってここに載せるのも出版社のなにかを侵害している感じがするので、内容に関して簡単な説明だけしてみます。

まず、3~4つの点なのですが、これは個人的にはスピーチの流れをつくるのに助けになるので、結構ありがたい存在です。こんな情報の波に飲み込まれそうなときに、つかむべく藁、のような存在です。

「読んだテキストの、テーマの趣旨、主要な考えと副次的な考え、主要な考えについてのコメント、そして必要とあらば著者の意図、という点を含めてスピーチを展開せよ」というザックリ指示だけのレベルC1のスピーチ課題にはなかった助け舟だと思います。

でも、船多すぎて、どれに乗るべきかわかりまん。

つまり、C2バージョンは、ヒントたくさんだけど、たくさんすぎて溺れてしまえ、ということなのでしょう。

そして、C1バージョンは、ヒントがなくて難しいと思ってたけど、裏を返せば、“もっと自由だった” ということなのでしょう。

また話が逸れましたが、それでは簡単にかつ具体的に説明:

ここのテーマ(再掲):

「LA VIDA EN LAS CIUDADES」(都会での生活・アーバンライフ)

そして続く前振り:

このまさに人類史上の現在において、田舎より都会に住む人間の数の方が多いと言える。そしてこのことは、環境面においてのバランスや平和的共存の保持にとって深刻な脅威となっているが、しかし同時に、都会が抱える問題を克服できるようなさらに効果的なシステムの探求という挑戦の提起でもある。

で提示されたスピーチに含むべき3つの点は:

①都会生活においての、主だったいくつかの利点と不利な点

②住むのに魅力的な世界の都市とその選ばれし理由

③将来都会が呈しうるであろう様相と現在直面している問題に対するなんらかの解決策

そして、参考資料:

Ⅰ.都会生活での主だった様々な問題・様々な利点・解決策、を具体的に挙げて図式化した資料

Ⅱ.世界の都市力比較表(「Cities of opportunities 2011」)

Ⅲ.テキスト1:「世界の都市力比較2011についてのレポート」(上のⅡの表の内容を詳細に説明したもの)

Ⅳ.テキスト2:「建築の将来」

これらの親切なのかいじわるなのかわからなくなる大盛りヒントの山から、いいもんピックアップして、6~8分のスピーチを構成します。

多分、全部の重要ポイントに万遍なく触れることを期待されてるような気がします。

◆まとめ

空腹なのにおなかいっぱいです。

ところで、いつもは “知的なネイティブ” の講演とかばかり聴いたり見たりしがちなので、同じノンネイティブ学習者のものを聴いたり見たりするのも、たまにはいいな、と感じました。

別に、自分よりレベルが上か下かは関係なく、なにかしらの目安ができるし、盗めるものもあるし、逆にこれは自分はしないように気をつけよう、とか、結局結構得るものがあると思われます。

(ちなみに、今回の動画の学習者は自分よりはるか上のレベルで、盗めるもの盛りだくさん)

なので、この課題が載っている対策本を持っていて、普段比較対象になる学習の友がいない独学者は、勇敢なる比較をしてみるのもよいかと思います。

持っていない人も、4つの参考資料の内容は読めないけど、上記の提示内容だけを見ながらでも、話の本筋に沿って話してるのかどうなのかとかが判断できるし、ふんふん、ほーん、とかなりながら動画を見れる(聴ける)ので、よいと思います。

(念のため再掲:動画はこちら⇒「DELE口頭試験のモノローグ(スピーチ)対策」)