DELE口頭試験対策としてやったこと(レベル別)
レベルを、“C1合格まで”と“C1合格後からC2合格まで”のふたつの段階に分けて書いていこうと思います。
なにはともあれ、とにかく、スペイン語での話術向上のために何が役立ったかと聞かれたら、まず、西作文編で文章表現力向上について書いた時と同じように、
全部。
と即答します。
文章表現力向上のためにしたことに関する西作文編の記事↓↓
でも、ここでは、ぎゅーっと最大限に的を絞って『完全なるアウトプット学習』、さらに絞って、話術向上のためだけに特化した『完全なるアウトプット学習』にピンポイントに焦点を当てたいと思います。
話しを進める前に、まず『アウトプット』と一口にいっても色々な種類のものがあるのでそこに触れておきます。
ここでは二つに分けてみましたが、見てわかるように、この両者間では、言葉を口に出すまでのプロセスがまったく違います。
なので、どちらも必要で効果的なトレーニングであると言えるのですが、やっぱり話せるようになるために最終的に重点を置くべきは、後者の『完全なるアウトプット』であると思われます。
そして、ここでも当然『完全なるアウトプット』
つまり、同じ話すという行為でも、
『自分の言いたいことや考えをスペイン語で口頭表現する際』つまり『口頭での自己表現時』
のテクニック向上のためのトレーニングを取り上げます。
このテクニックを鍛えないことには、話術自体の発達も望めそうにありません。
まあ、言ってみれば、話したりの自己表現時にも、結局、インプット学習で、つまり、読んだり聴いたり音読したり瞬間作文に使ったりした与えられた素材の中から吸収したフレーズや表現や言い回しを使うというところは同じなわけだけど、とはいえ、
完全なるアウトプット、つまり、自己表現時の脳内プロセスは:
というまったく別次元のものになります。
そして、さらには、話す、という瞬間勝負の行為においては、瞬発力や柔軟性や即興能力を磨くことも必要となってきます。
つまり、それ用に特化した学習やトレーニングが必要になってくるわけですが、そんな完全なるアウトプット学習として、具体的に何をやったか、という本題にやっとここから入ります。
◎C1レベル合格まで:『独り言学習』とその録音
どんなに凄くて役立つことかと思ったら、
独り言
って・・・
というなかれ。
とはいえ、
独り言:
聞く相手がいないのにひとりでものをいうこと。また、その言葉。
他人に対する意志伝達の意図なしに、あるいは他人の存在なしに一人で話される言葉。
辞書より
このように、辞書を見てもわかるように、独り言、という言葉には、「(残念ながら)聞いてくれる相手もいないのに、独りぼっちでブツブツ(意味のないことを)言う、まあそもそも相手に理解してもらう気もないけどさ」みたいなイメージが多かれ少なかれあると思うので、
そもそもそれって
意思伝達のやりあいや意見交換などを目的とした相互的なものである
コミュニケーションのための話術上達に役立つん?
という素朴な疑問が湧いてくるのも無理ありません。
でも、言語学習に関して話しているこの場における、独り言、はひと味もふた味も違って、目の前にリアルに対話相手がいるキャッチボール形式の会話ではないのは確かですが、とはいえ色々な工夫が施された色々な種類のものがあります(個人的分類と命名)。
◎自己完結型(多分)学習『独り言』詳細
『独り言学習』の醍醐味
- 独りでできる。
- どこでもできる。
- いつでもできる。
- 自分の頭とハートさえあれば他には何もいらない。
『独り言学習法色々』
- ①独りフリートーク形式
:頭に浮かんだことを好き放題好きなように好きな時に単に口にするもの
- ②【メイン】スピーチ形式
:始終こちらが一方的に独りで話すのだけど、聞き手や聴衆がいることを想定して、特定のテーマやコンセプトを設けてそれについて論じたり聞き手に説明したり訴えかけたりするもの
- ③独りロールプレーイング形式
:実際に目の前に対話相手がいると想定して、様々なシチュエーションにおいて様々な役割を演じる妄想会話シミュレーション
などなど。
それぞれの詳細を見ていきます。
①独りフリートーク形式
この形式を、勝手に「すきま時間の独り言」と命名しました。
基本的には、独りでご自由に、というものなので、やり方次第で可能性が無限大な形式なのですが、あまりにも自由だと混乱し迷うのが人というものだから、なにか例を挙げてみることにします。
『日常のすべてをスペイン語で言う』
実際、外国語を話せるようになるための方法として、
日常のすべてを〇〇語で言えるようになることをめざす
と良いっていうのは、よく耳にすることであります。
要は、自分の身の回りの物や人や出来事に関してや、日々の生活の中で考えたこと思ったこと感じたこと、浮かんできた感情(楽しい・不快・嬉しい・悲しい・面白い・苦しい・悔しい・残念・がっかり・恨めしい・不平不満などなど)などの
すべてを声に出して言ってみる。
もう少し具体的な例としては、今日一日の自分の予定を起床時に言ってみる、一日の最後にその日にあった出来事や自分のやったことを日記的な感じで口にしてみる、その日食べたものを説明してみる、何か作ったなら作り方を口頭で説明してみる、などなど。
と、ま言ってみれば単純なことなのですが、実際トライしてみると、
こんなことも言えないのかわたしは。
と愕然とする自分にたくさん出会えます。
例えば、
「最近便秘続きだわー」
って思ったら、それをスペイン語で声に出してみる。
便秘(estreñimiento)という単語自体は知っているけど、文章に出てきたり聴く分には理解できても実際に自分の口から出したことがなかったりします。
また、例えば、さらに「よくよく考えてみたら3日連続(で便秘)だわー」
って付け加えようとして、その時とっさにパッと出てこなかったおかげで、
“3日連続、又は、(連続した)3日目”=”por tercer día consecutivo”
が言えるようになったりします。
こんな風に、実際言葉にしようとする時、知ってる単語でも間違いがないように再確認のために辞書で調べることになり、そういう作業自体がある表現や単語が記憶に効果的に定着する助けとなります。
そして、こういうプロセスの積み重ねが、語学能力の底上げに直接つながっていくのだと感じます。
②【メイン】スピーチ形式
例としては、
モノローグ・講演・スピーチ・発表・演説
又は、笑いやコメディー要素を省いた(別に無理に省かなくてもいいけど)
スタンダップコメディー・独り漫談・落語
あたりをイメージするとわかりやすいかと思います。
つまり、目の前に聞き手がいて、話し手の自分に対して言葉こそ返してこないが、“うん、うん。”や“なるほどね。”や“うん、それでそれで?”というような、相槌でもって自分の展開する話に参加してくれている、というイメージです。
(コメディーや喜劇系の独り舞台もんは、独りコント的に一人で複数役することも多いけど、それは除く)
さらに、もっとわかり易くいうと、
独りアーティクルディスカッション(※)
みたいなもんです。
ここの、“ディスカッション”と“意見交換”の独りではできない部分を省略したバージョンだと考えれば想像しやすいかと思います。
この②と次の③に関しては、すきま時間はもちろんですが、ちゃんと別途時間をとってやっていました。
DELE口頭試験対策としては、実際の試験内容を考えても、この②と次の③の両方が中心になってきますが、どちらかというとこのスピーチ形式トレーニングをメインにしていました。
具体的には、対策本や過去問に掲載されているものでもニュース記事でもなんでもいいので何か文章を読んで、その内容を要約したり論じられているテーマに関する意見を、聞き手がいると想定して、一方的に述べる、というものになります。
そして、それを録音して後で自分で聴きます。
③独りロールプレーイング形式
ロールプレーイング⇒実際の場面を想定し、さまざまな役割を演じさせて、問題の解決法を会得させる学習法。社員訓練や外国語会話の習得に応用される。役割実演法。
(デジタル大辞泉より)
これも、録音します。
個人的には、この形式は苦手で、あまり本気で取り組めませんでした。
想像力とか柔軟性とかが足りないのかなんなのか、たびたび、自分の中の何かが邪魔をして、途中で“ふっ(ばからしい)”となってしまうからです。
模擬的シチュエーションでほぼ猿芝居、それも独りで?というような捻くれた心とでもいいましょうか。
なので、なんとかギリギリできたのは、上述の“独りアーティクルディスカッション”の、②では省略した“ディスカッション”と“意見交換”の独りではできない部分を、想像上の対話相手の意見や質問や返しをあらかじめ用意することで、少しの想像力を働かせ必要性にも手伝ってもらってする、ぐらいのことでした。
でも、独りだと、さまざまな面で限界を感じて難しかった“猿芝居”も、実際に相手がいれば半笑いながらもなんとかできることを後々知ることとなります。
“独り言学習法”まとめ
この三つ全部どれでも、会話術や話術トレーニングとなるのだけど、その中でも、特にDELE口頭試験対策として役立つのは②と③です。
でも②も③も、真剣に取り組むと時間的にも労力的にも結構がっつりなトレーニングなので、もっと短時間ですきま時間にでも出来るもっとお手軽なやつ、かつ、①の“独りフリートーク形式”よりはもうちょっと負荷のかかるものはなんかないか?となったときは、これ↓↓です。
『スペイン語で誰かに何かを説明する』練習
- 『〇〇(用語・コンセプト・定義)ってどういうこと?』『どういうときに使われるの?』『〇〇について論ぜよ』などと質問されたシチュエーションを妄想して、
- 『それはですね・・・』と相手に一方的にスペイン語で説明する体で話す。出来る限りながながと。でも、ひたすら意味なく長々しててもあれなので、なるべく順序立ててうまくまとまるように心掛けつつ。
さらにもう一段階お手軽なやつ↓↓
ある特定の事柄やテーマに関して、
現時点で自分の言えることを言う、言える限りのことを思いつく限り言い尽くす。
この際まとまってなくてもいいから。この際悪口でもいいから。この際感傷的でポエム的なことになっても誰もかまわないから。
というか、勝手に上で①②③とか適当に分類したばっかりに、適当がたたって、どこにも当てはまらないものがぞくぞくあとから出てくる、という感じになってしまってますが、もう一個だけいいですか?↓↓
③のロールプレーイングのテイストも多少含みながら、①のフリートークのテイストも含んでいる、かと思えば、②のスピーチテイストも多少、でも①②③のどのパターンにも属さないとも言えそうな
自分との会話
です。
対話相手や聞き手が目の前にいることを想定してするものとした①②③のパターンとも違って、対話相手や聞き手と話し手の両方の役割を一人二役でこなす、というのともちょっと違う、
自分(又は自分の中の誰か)を“あなた、君”=“tú”として話しかける。
というものです。
例:何かに対してうしろめたく感じている自分を発見したら
“¿Por qué te sientes culpable?”
などと実際に声に出して自分に問いかけてみて、
“No lo sé, pero tal vez es porque~”
と好きなだけ納得いくまでやりあう。自分と。
他には、自分と相談する。自分をののしるそして言い返す。とか色々なパターンがあります。
ただし、あまり深入りすると、スピリチュアルな方向(内なる対話、みたいな)に逸れて行きかねないので要注意。
このぐらいにしときます。
ところで話は変わってというか戻って、特に②と③に関してDELE口頭試験対策として役立つ、と上で述べましたが、でもだからといって、検定の勉強というアカデミックな方向に偏ったものではなく、個人的感想としては、
という感じです。
というのも、この②と③の独り言学習法は、自然なコミュニケーションや会話の流れに乗ったものだからです。
自然な会話、とは、質問と回答で成り立っていたり、何かを誰かに伝える又は説明するためのものであったりします。
そして、自分の話し手としての立場は、時には質問する側であったり又時には答える側であったり、時には説明する側であったり又時には説明される側であったり、と時と場合によって当然変わってきます。
こういういろいろな立場の話し手となる練習を独りでするのが、この“独り言学習”なのだと言えると思います。
あとがき
書くことに対する不安は書くことでしか払拭できない
のと同じで
話すことに対する不安は話すことでしか払拭できない
らしいのです。
ということなら、
数秒数分を惜しんで話すことになる
『すきま時間の独り言』
で、その不安をぎっちぎちに埋めてしまう(=埋めた気になる)のもひとつだと思います。
ちょうど今朝も起床時に布団からなかなか出ようとしない自分に向って:
“¡¡Levántate, levántate, imbécil!!”と声高に数回唱えたことが、もっとも記憶に新しい個人的スペぶつ(スペイン語でぶつぶつ)です。
とにかく、ちょっと人目を気にしてしまいがちな『独り言』も、なりふり構ってられない外国語学習者にとったら、“やり方と本気度と工夫次第”で“効果抜群のメソッド”となりうるのです。
次回は、この“やり方と本気度と工夫次第”と“効果抜群のメソッド”という、ひっかかって気になってしまった部分についてと、「独り言の録音」効果について、掘り下げようと思います。
続き↓↓
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