スペイン語音読 2:口周りの筋トレ

今回は、音読トレーニング用にどんなスペイン語の素材を使うか、について考察したいと思います。スペイン語音読 其の1の続きです。
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口周りの筋トレメニューである スペイン語音読 其の2


音読は、自己流にならずにネイティブ話者の音声をそっくりまねることを繰り返してその話し方やリズムを自分にじわじわ染み付かせていくのが目的です。それゆえ、まねして染み付かせたい見本が必要です。

その点を考えると、スペイン語の場合、非常に複雑なことになります。
なぜなら、スペイン語はたくさんの国(21か国)で話されている言語なので、様々な方言・イントーネーション・独自表現が国ごと又は地域ごとにあるからです。

例えば、かなりざっくり、だと、スペインとメキシコとアルゼンチン、この3か国だけでもぜんぜん違います。そして、どれも、一度自分に染み付いたら、周りにどこのスペイン語が染み付いているのかいとも簡単に見抜かれ気付かれます。

ここで、もし仮に、うんメキシコのスペイン語を染み込ませたい、ということになったとしたら、メキシコのネイティブ話者が話しているリスニング素材を音読する必要があります。または、スペインの大半で使われる”CやZの[θ]”の音を身に付けたいなら、スペインのネイティブ話者の素材でしか獲得できないと思います。アルゼンチンの”ショ(ジョ)感”となんかイタリアンっぽさ(個人的印象)をものにしたければ・・・・etc.

そして、次に、素材としての必須条件は、スクリプトがあるもの、です。

はい、ただでさえ全体的に劇的に少ないスペイン語教材の中においては、当然この必須条件をクリアしているリスニング素材は極少なく、ましてやスペイン以外の国の話者の音声素材の入手は極めて困難、という事実が存在します。困難度はメキシコ→アルゼンチン→他のもろもろの国・・・とだんだん高くなっていきます。

だから、出来る限りたくさんの素材に触れたいと思う時、一つの国に絞ると、素材の枯渇は想像より早くやってきます。

そんなこんなで、自分の場合は、これまで言ってきたこととだいぶ矛盾が生じますが、実験的に、すべての国のものに手をつけてしまった次第です(¡¿Cómo?!)。スペイン、メキシコ、アルゼンチン、チリ、キューバ、コロンビア、ベネズエラ。

なので、実は、いま現在、自分のスペイン語の話し方がどんな風に出来上がっているのか、よくわかりません・・・実験が過ぎたかもしれません。へへ。

で、その実験的ながらに使ったいろいろな国のネイティブ素材はどこから引っ張ってきたかというと、まず音読トレーニング第一段階では、DELE検定試験の過去問のリスニング問題の素材であります。

DELE過去問素材は、世界共通のスペイン語検定試験だけあって、いろんな国の話者のものが採用されています。もちろん親切にスクリプト付きです。

ただ、以前(ほんの数年前まで)はゴッソリと大量にレベル毎に試験約10回分ほどの過去問が公開されていてダウンロードが可能でしたが、いまや、もう1レベルにつき試験1回分の過去問しか公式サイトでは公表されていません。なぜでしょう。

ほんと、全レベルのもの頂戴しておけばよかった、といまさらながら悔みますが、その時は、レベルB2(中上級)のものだけをすべてダウンロードしました。ひとつ上のレベルC1(上級)に向けての勉強の為でしたが、一個下のレベルのものから始めて基礎を固めて行こうと考えてのことです。

一つの文章の音声の長さも、B2素材は、2分前後、と取っ掛かりにはいい具合の長さでした。C1素材となると、4~6分になります。

リスニングと読解の素材の難易度の違い

スクリプトを見れば、リスニング素材の文章の内容は、同じレベルのDELE試験の読解問題用の素材と比べて、難易度に差があって、より易しい、ことがわかります。聞き取れなかったり、意味が取れなかったり、したものを、スクリプトを見て文章として読んで確認してみると、うっ、となるほどに簡単なものだったりします。

このことから、ほ~そうか~、となんか色々と納得できます。例えば、自分だけではなくて、一般的に学習者全般にとって、読めるもの聴けるものの難易度に差があって当然なのだとわかります。

口語と文語の違い、とも少し重なる部分だと思います。よく聞く「そんなおかたい難解な表現、文章でしか使わないよ~はは」の、アレです。口語でも、講演などで使う表現・語彙と普段の会話で使うものは違うので、一概にきっぱりと分けきれない部分はあるとは思うのですが。

つまり、こういうことも意識して、難しすぎない簡単すぎない、自分にとってちょうどよい素材選びが大事だと思います。でも、はっきり言って目安がよくわからないから、対象レベルがはっきりしているDELE試験過去問はいい目安になるとおもいます(もう公式には入手不可能なんですが・・・)。

まとめると

自分にすみずみまで染みわたってほしい方言が話されている国・地域のスペイン語ネイティブ話者のもの
スクリプトのあるもの
難しずぎない現在の自分のレベルにあった内容・長さのもの

が、スペイン語音読トレーニングに適した素材、だと思われます。

次回は、音読トレーニングの第2段階に使った別の素材についての考察です。スペイン語音読3へ続く