語学においてナチュラルスピードとは

ナチュラルスピード
言語において、読む、話す、聴く、においてそれぞれに、ナチュラルスピードなるものがあるようです。主に、リスニング学習の為の素材に関して、ナチュラルスピードで○分の素材、という風に使われているのをよく見かけるので、今さらだけど、なによ、そのナチュラルスピードって、と思い気になったので調べてみました。今回は、リスニングに焦点をあててみました。(読む速度に関してはこちら

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ナチュラルスピードってなに


ナチュラルスピード=ネイティブスピーカーが普段会話で話すスピード(聴く側としては、話されるスピード)

と、調べたものの中では定義されているようでした。

そして、話すスピードは、『wpm』(1分に話される語数:words per minute)という単位で表されています。

英語の場合なのですが、CNNなどの主要ニュースでは、180~200wpm程度だそうです。スペイン語はまた違ってくる可能性はあります。もっと早口かな?いや英語の方が、流れるように話す感じあるから早いかな?

でもなによりも前に、もう!ざっくり定義だなあ、と思ったので、さらに掘り下げてみると、こういう参考データがありました。あくまで参考、です。

参考データ①↓

速度

演説・講演など⇒120~140wpm

TOEICなど検定試験のリスニング音声素材⇒140wpm

講義⇒140~160wpm

ニュース⇒160±20wpm

通常会話(早口め)⇒180wpm

さらに早口の会話(興奮・怒り時?)⇒220~230wpm

※英語の主要ニュースでは、180~200wpm程度。
※単位:wpm=1分に話される語数(words per minute)

 

(参考:英語学習のサイト)

ほ~ん語学検定などでの読み上げ速度は、ニュースの速さより遅いのか・・・

ということは、ニュース(ネイティブ向け)の速度に慣れていれば、通常のリスニング試験では楽勝とまではいかなくても、遅めに感じるということでしょうか。でも、内容が試験のもののほうが厄介そうだから、遅めだからといって、より理解しやすいとは限らないのでしょう。

そして、ネイティブ同士が話すナチュラルスピードの会話は、早い上に、文法的にも不正確(学習者にとっては)で不明瞭だろうから、かなり訓練した人でも聞き取りは難しい、とありましたが、まさにそうなのだろうなと納得しました。

別の参考データ②↓

レベル別の学習者の対応できるスピード(語彙の問題クリアしていること前提)

●初級~中級:100~120wpm
⇒140wpmだと70~80%理解:それ以上だと処理不能

●通訳訓練者がめざすところ:160±20wpmあたり
⇒140wpmで100%理解:160wpmを80%理解:180wpm以上でも70%理解維持

(参考:通訳訓練関連のサイト)

スペイン語の音声素材を検証

実際、音読やディクテーションをする際に、○分の素材、という風に分数(長さ)で言うことが多いのだけれど、でも、1分間で話すスピードによって結構語数も変わってくるから、分数は基準にならないな、と前々から感じていました。

また、同じレベル(特定のレベルに合わせて集めた素材が収録されている1冊の対策本の中の、という意味で)の同じ分数(長さ)のものでも、理解度や音読・ディクテーションの出来具合やかかる時間が違ってくるのはなぜかな、とうっすら思っていました。

でも、レベル分けされた検定対策本に入っている音声素材は、ほとんど一緒のスピードだろう、と思っていたし、理解度の違いは内容や未知語彙数のせいだろうと思って、わざわざ調べたりしたことがありませんでした(そんな余裕がなかっただけ、ともいえる)。

でも、幸いやる気が起きたので調べてみたら、上記のようなナチュラルスピードであったり他のスピード基準があることを知ったのですが、さらには普段実際に自分が学習に使っているリスニング用音声素材や検定試験のものの長さと語数を数えて速度を検証してみました。

同等レベルの素材間でも結構スピードの違いがある

そしたら、なんと(個人的感想)、同じレベルのものなのに、スピードに結構違いがあることが判明しました(具体的には、C1レベルのDELE対策本に収録されているいくつかの音声素材同士を比較して、ということです)。

例えば、180wpmのものがあったり、別のものは140wpmだったり。160wpm前後のものもあったり。つまり、上の参考データ①のニュース速度、②の通訳訓練者の目指す速度、「160±20wpm」の範囲内なのですが、140と180じゃ結構差があると思うのですよ・・・

公開されてるDELE公式過去問のものは(各リスニングパートの一番目の課題のもの)、C1は約160wpmで、C2は約150wpmでした。C2の方が遅めって、なぜに!?とは思いましたが、あんまりスピード重視じゃなく内容重視なのか、そもそもそんなに検定開催側にも素材の選択肢がないのか、のどちらかだろうなと勝手な想像をして疑問を抑え込みました。

(追記:ちなみに、C1にある会話のリスニング課題Tarea2で扱われる素材の速度は結構早目で、180~200wpmにまでなるものもあります)

速度と理解レベルの関係の曖昧さ

でも、一方で、実際には、スピードが遅くても、内容の難易度が高く未知単語や表現の数が多い場合、理解度は下がり、場合によっては音読やディクテーションの出来も悪くなる、という例もあることが自分の経験の中で確認できました。

具体的には、これ難しいなあ(かなり漠然とした基準だけど)、と前々から思っていた音声テキストを調べてみると、一番遅い部類の140wpmの速度で話されているものだったり、逆に、これは比較的すんなり入ってくるなあ、と思っていたものが、180wpmという早いスピードで話されていたりしました。

要は、内容なのか、と思わされる案件です。

しかしながら、ちゃんと、スピードがより速いから、より理解しにくかったのか、とわかって納得できた素材もありました。

あと、参考まで、DELEレベルC2用の対策本に収録されている音声の速度は、大体160wpmあたりでした(追記:180wpmぐらいのものもある、つまり、160~180wpmの範囲)。

結局

こんなスピード基準などについて勝手に書いておいてなんですが、で、結局、曖昧な基準ばかりで、疲れてきます。

語学において、はっきりくっきりした基準を追い求めるのが間違っているのでしょうか、多分そうです。

とはいいつつも、そんな基準でもなければ、さらに路頭に迷うことになるのかもしれない。し、そうでないのかもしれない。基準なんかあるからさらに混乱してるのかもしれない。し、そうでないのかもしれない。

追記:ちなみに、NHKスペイン語ニュースでは、普通のニュースは大体180~185wpmで、時事解説コーナー(Comentario)では、160wpm前後でした。この番組、基本は日本在住のスペイン語ネイティブスピーカー向けのものみたいだから(もしくは日本に興味のある海外在住ネイティブ、多分)、そんなに手加減されてないだろうけど、にしても、感覚的にスペイン語圏現地のニュースはもうちと早口なような気がします。英語の主要ニュースと同じぐらいで、180~200wpmぐらいは行ってそうです。


コメント

  1. maa より:

    DELEを受けようと考えており、拝見させていただきました。
    文章がおもしろいのと実体験をつづられているのと、細かく分析されているのでとても興味深く、おもしろいです。
    見習わせていただき頑張ろうと思います。

    これからも楽しみにしています(^^♪

    • adicto_1 adicto_1 より:

      お礼がおそくなりましたが、コメントありがとうございます!