スペイン語独学学習スタイル:かける期間と時間数と上達度の関係(前編)

よく見かける質問として「ずばり、語学力がある程度のレベルに到達するまでの期間はどれくらい?」というのがあります。もちろん自分ももれなく今までに同じ疑問を持った経験があります。こんな質問を前に「すばりもなにもない。人それぞれ。」をスパッと提示される時、それが大正解っていうことを頭ではわかっていながらも、そんな取りつく島もないようなこといわずに、平均みたいなもんを、大体ってもんを、目安ってもんを、どうかポルファボール、というのが人心というものだと思うのです。
スポンサーリンク

スペイン語独学リズム

まず、“学習スタイル”と一口に言っても、学び方(独学か否かなど)から、果ては取り組む姿勢的な事(片手間か人生注ぎ込むかなど)まで、それはもう色々な面に幅広く渡ってふくらませることが可能な話になってくるだろうけど、ここでは、ピンポイントに学習プランの軸でもある「リズム」というものに焦点をあててみます。

つまり、

  • 学習を進める速度
  • かける期間
  • 具体的な時間数
  • 上達の速度

などについてです。

まず、次のような意見があります。

◎獲得できる語学力の質は掛けた期間(年数)や密度に関係ない

語学力がある程度のレベル(※)に到達するまでの期間
=ある程度のレベルに到達するのに必要な知識と技能の習得にかかる期間
※ある程度のレベル:曖昧すぎるので、ここでは上級者レベル(語学検定の最上級レベル)や実用レベルとする[これもまた曖昧承知]

つまり、ある程度のレベルに到達するのに必要な知識と技能の習得を、2年でこなそうが、10年かけようが、習得終了地点での語学能力は同じだ。

なぜなら、2年であったり5年であったり10年であったり、語学力がある程度のレベルに到達するまでの期間(年数)というのは、どれぐらいの集中度密度でやるか、によってくるから、というものです。

単純に考えても、例えば勉強のための時間を一日に何時間割くか、によってテンポもリズムもそしてトータルでかかってくる期間も違ってきます。それに、一概にテンポやリズムが速けりゃいいってもんでもないだろうし、じわじわ時間をかけてしか上達していかない能力もあると思われます。

つまり、単なる、学習スタイルの違い、ってだけの話で、短い期間で達成する方がいい、というわけでもなく、又どんな年数であっても、一概に長い短い速い遅い良い悪いということは言えないものであるようです。

とにかく、こういう諸々から、始めに挙げた「ずばり、語学力がある程度のレベルに到達するまでの期間はどれくらい?」の回答一例として、大正解だろうけど答えを求めてさまようものにとっては手抜きの回答にしか思えない

偉大なる『人それぞれ』

が生れてくるのでしょう。

かかる期間(年数)は人それぞれ。個人個人の1日に費やす時間数やまたその質(集中力や乗り気度など)によりけりだから。

そして『獲得できる語学力の質』は掛ける期間(年数)によってこない。

まーそうでしょうね、と個人的にも納得しました。

で、やっと、やっと、ここから本題に入れるのですが、

『獲得できる語学力の質』は掛ける期間(年数)によってこない、となると、そんじゃあ、何によってくるのよ?や、また、ところで“ある一定レベルに到達するのに必要な知識と技能”の目安ってなによ?どんなにザックリでも無責任でも構わないから目安下さいお願い、という話の流れに自然となることでしょう。

目安としては、わかりやすい例では“〇〇レベルでの必須単語は〇〇〇〇個”のようなものが存在します。しかしながら、もちろん知ってる単語数は多ければ多いほどいいにせよ、残念ながら持ち単語数だけで語学力を測れるわけもありません。

ということで、他のもっとましなザックリ目安がないものなのか探してみた結果、次のようなものを見つけました(もちろんこれも多少まし、という程度です)。

“ある程度のレベルに到達するのに必要な知識と技能”を習得するために必要な「時間数」

です。

「期間(年数)」でなくて「時間数」

いや、そんな、言葉のあや的な話?と言われそうですが、やっぱり、「いや~〇〇達成まで3年かかったよ~」より「いや~〇〇達成まで3000時間かかったよ~」のほうがかなり具体的な参考となるのは確かです。

◎『費やすべき“時間数”』の具体的な指針

よく、〇〇時間勉強すれば、●●レベルになれる、という話を耳にします。

調べてみると、語学界隈では、

  • 語学がある程度極まるまでの時間数
  • ある言語をモノにする時間数
  • 実用レベルになるまでにかかる時間数

は、〇〇〇〇時間

という指針があるようです。

そして、上の意見に同じくここでも集中度や密度は関係ないようです。

つまり、その一定時間数を達成するためにかける年数が、2年であろうが10年であろうが違いはない、短期間集中型か長期戦かは関係なくこの一定時間数をこなせばよし、というものです。

まあまたこの目指すレベルの言い方がいろいろありすぎて、ちょっと曖昧極まりないのですが。ある程度、ってどの程度?モノにする、って具体的にどうなればいいの?どこの世界において実用レベルにすればいいの?などなど。でも、そこらへんはここではおいておくこととします。話が進まないから。

ところが、それにしたってさらに人によって言うことが随分違います。

  • 2000時間、だったり
  • 3000時間、だったり
  • 又は4000時間~5000時間以上、という人も

ちなみに、時間数の具体的な中身は:

例えば、中間どころをとって3000時間の中身は(単純計算で毎日勉強するとして):

1日6時間⇒500日(約1.4年)

1日3時間⇒1000日(約2.7年)

1日1時間⇒3000日(約8.2年)

ところで、この2000時間だったり5000時間だったりの、目安にならん、と言いたくなるほどの時間数の違いは、各自の目指す到達レベルの違いや正に基準とするレベルの曖昧さそのものによるものだと考えられます。

あと、時間数をカウント開始するスタート地点の各自のレベルによってももちろん変わってきます。

でも、このスタート地点に関しては、“基礎を終えた中級レベル”あたりに固定しても問題ないのではないかと独断的ながら経験上思います。

理由としては、上の囲いの中の年数例を見てみると、まったくのゼロからある言語学習をはじめて、1日3時間の勉強で3年以内に、実用レベルに到達できるとは思えないからです(スペイン語実用レベルの人が、きょうだい級に似ているポルトガル語やイタリア語をゼロから学ぶ、などのケースは除く。まあそもそも、ゼロから、じゃないって話になるし)。

まあ、人それぞれの元々の頭脳の出来であったり経験であったりやり方であったりにもよってくるだろうから、ゼロからでも1日3時間を3年で実用レベルになる人がいないこともないのだろうとは思うのですが。

あと、これは周りの環境にも大いによってくるので、例えば、その言語が話される国で暮らしていて机上での勉強が1日3時間、ということならこれまた話はまったく変わってくるとも思います。

そしてもうひとつ、カウント開始地点=“基礎を終えた中級レベル”の根拠があります。

というのも、ここで参考とするために取り上げている必要時間数の目安は全部、“学生時代に英語の基礎教育をなんにせよ受けた日本人が大人になってから忘れかけている英語の学習をやり直して使えるレベルまでもっていく”、というシチュエーションでのものであるからです。

つまり、ちっともゼロじゃないところからのスタートなわけです。

同時に、このことは、この必要時間数の目安がスペイン語学習者には参考にならない度が高めな理由とも重なります。学生時代どんなにさぼってたとしても、例えばアルファベットは知ってるし辞書の引き方もわかるし知ってる単語も多いし、と、とにかくスペイン語より英語の方が断然身近で馴染のある言語であることには変わりありません。

でも、日本人がスペイン語をゼロから始める場合でも、語順や文法など似ている部分が少なくない英語の基礎があるのとないのではスペイン語習得までのプロセスや時間も当然変わってくるはずなので、そういう意味では、まったくのゼロスタートとは言えないと思うので、そうかけ離れたものでもないような気もするのですが。

とにかく、スペイン語学習者には参考になるようなならないような感じのもの、ということを念頭に置いておくべき案件だとは思います。

でも、英語学習者にとってすら参考にならなさそうなのに参考データとして求められる理由は、役立つ場面もあるからだと考えられます。例えば:

学習プランをたてる時

です。

◎学習プランをたてるために役立つ“必要時間数の目安”

ところで、まず、目標達成の効率的な方法として

期限をもうけることは効果的

だと耳にしたことがあります。

モチベーションの面だったり、必ず成し遂げるぞという覚悟的な面だったり、緊迫感の演出だったり。

むろん、期限もうけたって無理なもんは無理、なケースもあることでしょう。

また、もちろん、タイムリミットを設けずに、いくら年数がかかってもいいからこのレベルに到達するまでマイペースでつづけよう、というのでもなんら問題ないけど、なにかしら区切りなりの目安があることは目標達成のプロセスの具体化を容易くするのは確かです。

そして、期限をもうけることはより具体的な学習プランをたてるためにも役立ちます。

ここで“必要時間数の目安”の登場です。

そうこうして、

“期限”“必要時間数の目安”

の二つの要素が出そろったところで何ができるかというと:

逆算

です。

例えば、○年後に実用レベルに達したいから、今日から1日○時間勉強しよう、というような。

もちろん目指すレベルの違いにもよるけど、具体例として、

実用レベルに達する為に必要な時間数が3000時間だという目安を基にしてみたら(単純計算):

1年で決めたいなら毎日一日約8時間勉強する必要があるし

2年なら一日約4時間。

(ちなみに1年の総時間数は8760時間)

ってな風に、逆算することによって、やるべきことが明確化し始めます。

何かを始める時の戦略第一歩目は、

“時間の確保”

だと個人的には考えるので、こういう目安を参考にするのも、自己責任、ってことなら悪くないと思います。

なんだよ。3000時間やったのに、しゃべれないじゃん、といういかにも起こりそうな結果になったとしても目くじらをたてることもありません。ただの目安だから。

◎「○○○○時間」の『質』に出てくる個人差

ところで、ここまで『人によりけりだから期間じゃなくて時間数』というような方向で来ましたが、この“時間数”すらも突き詰めてみると、結局やっぱり『人それぞれ』という個人差無視して語れっこないポイントに一周回って戻されてしまいました。

例えば、厳密に同じ“3000時間”という時間数を割いていたとしても、

人によって

  • 集中力も
  • 意欲も
  • リズムも
  • 乗り気度も
  • スタート地点も
  • 学習内容も
  • 取り組む姿勢(受け身なのかか自主的なのか)も
  • 要領の良し悪しも
  • 焦りや緊迫度も
  • 得意不得意も

つまり何もかもが違うので、まったく同じ『質』の“3000時間”となるわけでもありません。また、“3000時間”達成後の到達点も違ってきます。

例えば、同時に入学し同じ学校で同じだけの時間数分の授業を受けたとしても、卒業時の成績が人によって違ってくるのとよく似た現象です。

あとがき

ということで今回、できるだけ具体的になってみようとはしましたが、最終的には:

なんでもいい。

一般的に言われている指標から大きく外れたり遅れをとっていたりしてもどーでもいい。

え?わたしって平均より、あれなの?と頭を抱える必要はない。

長期戦でぼちぼちやろうが、短期集中型で、あれ?ちょっと燃えすぎか?いろいろ大丈夫か?というぐらい没頭してしまおうが、

どっちでもいい。好き好きだ。

何年かかろうが、やめずに続ければそれでいい。

いつかは“そこ”にたどり着く。

というところに着地することとなりました。

とはいえ、この語学における学習スタイルや期間・時間にまつわる意見は他にも色々あるので、次回も引き続き同じテーマに関するあれこれについてです。

個人的にかかった時間数について計算してみて我ながらちょっと驚いた次記事↓↓

今回は、前回取り上げた“獲得できる語学力の質はかける期間(年数)や密度には関係ない、関係してくるものがあるとしたら時間数ぽい”という論に対して、“いや、期間(年数)や密度は大いに関係ある”とする意見について見てみます。『ぎゅっと短期戦』vs『じっくり長期戦』の対決です。