DELE C2合格までの記録⑱:合格までにやったこと【口頭試験編】(3)

前回は口頭試験における個人的躓きヒストリーについてでしたが、今回は、実際にやった対策についてです。まず、なにはともあれ口頭試験攻略のために不可欠なのは言うまでもなくスペイン語での話術の上達ですが、そのためのたったひとつの秘訣について掘り下げてみます。

前回記事↓↓

前回はDELE口頭試験時の心構え各種について広く浅くなぞりましたが、今回からは、口頭試験に絞った個人的“可・不可”歴や、いままで対策として実際にやったこと各種について書き始めたいと思います。
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口頭試験攻略のためのたったひとつの秘訣

また極極あたりまえのことをなかなかにしょっぱなから言わせていただきます。

これなくして、スペイン語での話術の上達はありえません。

そしてスペイン語での話術の上達なしに口頭試験攻略はありえません。

これ↓↓

◎秘訣_すべてはここから

ずばり:

スペイン語を話すことに慣れる

そしてそのために必要なことは:

スペイン語を実際に話すこと。

または

実際に口を動かすこと。

それも、

自分の言いたいことをスペイン語で声に出してみること。

に限ります。

あーあたりまえ。秘訣、と呼んでいいものか多少考えましたが、呼んでしまうことにしました。

*実際に話す。実際に口を動かす。

読んでるだけでは、聴いてるだけでは、書いてるだけでは、心の中で考えてるだけでは、焦がれているだけでは、イメトレだけでは、話せるようにならないそうです。

話せるようになる道は、話すこと以外にない。

みたいなのです。

プロセスとしては:

  1. スペイン語で話し慣れる
    +スペイン語ネイティブのいろいろな話し方や表現方法を知るそして真似る
  2. 自分のスペイン語話術の質を上げていく
    =スペイン語で話せる内容や表現力の質を上げていく

つまりは、まずスペイン語で話し慣れないことには、話術の質向上もないみたい、という話であります。

個人的にも、いまのところ、確かにそうかも、と実感しています。

語学における“話す”という技能の習得は、よくスポーツにたとえられます。ある特定のスポーツに関するルールや歴史や選手などにマニア級に詳しくても、又、毎日のように試合を観戦してマニア級に実際のプレーを直に目にしていても、実際にプレーできるかどうかはまたまったく別の話です、ってやつです。同じくアウトプット系である“書く”という技能に関しても同じことが言えると思います。

つまりは、長い時間と多大なエネルギーを注ぎ込んで、プレーに必要な動かすべき筋肉を鍛えるための練習とその筋肉を実際に使うことの繰り返し繰り返しを実際にしてきた者、又、失敗も無駄も成長も全部含めた試行錯誤を何度となく繰り返し積み重ねるしかない未熟な時代を経てきた者にしか、うまくプレーするための自分なりのやり方やコツというものが掴めない、ってやつです。

母国語の日本語もそうやって身に付けてきたはずです。今自分が日本語をたやすく理解できるし話すことも書くこともできるのは(外国人と比べて)、すこやかなる時も病める時も喜びの時も悲しみの時も、日本語とともにいて日本語を繰り返し使い続けてきたからです。

そして、プレーに必要な動かすべき筋肉も使わないことには鍛えられない、ってのもまた当たり前のことであります。

とどのつまり、スペイン語を口を動かして実際に話さないことには、口周りのマッスル(筋肉)や舌の動きなどがスペイン語仕様に鍛えられっこないのは明らかです。

当然、普段動かしていない錆び錆びの(スペイン語用)が、実際に開くべき時にうまく動くわけもありません。もう錆び錆びですから。

そんなこんなで、とにかく実際に話すことの重要性はわかりました。

ところで、実際に話す、実際に口を動かす、といってもいろいろな方法があります。

言語学習においては、ばっくり大きくふたつに分けると:

  • ただまねるだけの比較的受け身的なもの(音読・シャドーイング・瞬間作文など)
  • 自分の言いたいことや考えなど自分の中にあるものを表現する自発的なもの(会話・自己表現[スピーチとか]など)

があります。

言語の習得はまねすることから始まると言われているし、どちらの練習も話せるようになるまでの過程で不可欠なものであります。たぶん、どんなレベルになっても、このふたつをやり続けなければならないような気がします。

ただ、その時々によって、どちらに重きを置くべきか、という割合の問題はあるように思います。

例えば、学習者として中級や上級レベルになってくると、徐々にまねする練習の量を減らして、

そのまねすることで今まで自分のものにしてきた表現能力を、自分の頭の中にある言いたいことや考えや知識を声に出して表現するということに使う

という練習に重きをおくように変えていく必要があると思われます。

インプット学習とアウトプット学習のバランスに通ずる話でもあります。

上質なインプットあっての上質なアウトプット...と語学学習に関してよく言われています。又、学習内容のインプットアウトプットのバランスもとても...

*自分の言いたいことを声に出してみる。

そもそも、ただ口を動かすのではなくて、伝えたいことがあるから言葉を発するために口を動かす、というのが、話す、ということの本質だと考えられます。

ということは、口周りマッスルだけを鍛えるのでは事足りず、自分の頭の中にある考えやら知識やらとにかく伝えたいことをスペイン語で口から外に出すまでの過程をスムーズにするための、

スペイン語仕様の思考回路まわりのマッスル(比喩的)の強化

も不可欠です。

その強化方法は:

自分の頭の中にあるものを自分の言葉でスペイン語を使って表現してみる

ということの繰り返しを通して口頭による自己表現の経験値を上げていくしかなさそうです。

その具体的プロセス↓↓

  1. 自分の言いたいことを
  2. 自分の選択した(スペイン語の)言葉で声に出して
  3. 自分なりの順序で展開させていく

このように、自分なりのスタイルの話術上達のためには、本当は、自分の言いたいことを実際に声に出すという練習が一番効果的なのだろうけど、個人的には、そもそも自分の言いたいことなどたかが知れているし、スペイン語(すぺいんごぐちと呼ぶことにする)があたたまるかあたたまらないかのうちに、口に出すことがなくなります。

なので、自分の場合は、あくまでメイン練習である、自分の言いたいことを自分の選択した言葉で声に出して自分なりの順序で展開させていく、という練習の(言葉通り)直前に、ウォーミングアップとして単純に口を動かす練習をして口周りの筋肉をほぐすようにしています。

例えば、1時間くらい音読などをしてある程度滑らかに口が動くようにしてから、自己表現の練習に入るようにしたりします。

◎そうこうしてスペイン語で話すことに慣れた暁には

同じ自己表現である、書く、場合にも、ひたすら書くことからすべてが回り始める、と以前に書きましたが、それと同じ現象が、話す、の訓練でも起こります。

“ひたすら書く”ことで生まれる好循環に関する記事↓↓

この回からは、実際やったことに関して書いていきます。まず、スペイン語文章表現(西作文)パートです。このパート、個人的には、それにしても正直ちょっと忘れたいぐらいに練習も本番も他のどのパートよりもヘビィでした。

詳しくは上の記事を読んで、“書く”のところを“話す”に変えてなぞってもらえばいいとは思うのですが、ここで簡単にいってみると、つまり、

ひたすらスペイン語で話すことで、スペイン語話術向上のために最適な好循環が必然的に生まれてくる

という話です。

逆に言うと、ひたすら話さないことには、発生しない状況です。

話せば話すほど、つまり、話すということの経験値が上がってくると、自分の頭の中にある言葉を口にする、又、耳から入ってくる対話相手の言葉に反応する、などのプロセスの循環をなめらかにするために必要な要素が自然と備わってきます。

  • スペイン語用の口周りマッスルの強化
  • スペイン語で考えたり反応したりするための瞬発力の発達
  • 自己表現時の自分なりのパターンやスタイルみたいなものの確立
  • 普段からの自分で使いこなせる表現をひとつでも多く吸収してやるという貪欲な姿勢
  • ある特定のテーマに関する自分の意見を固めておく必要性を感じる:だってその方が断然楽だから
  • もうひとりの自分:スペイン語人格の成長

◎“話す”における瞬発力や即興能力の比類なき必要性

上の点の中で、同じ自己表現でも、“書く”ことと決定的に違う点は、“話す”と言う行為に不可欠になってくる、

『瞬発力』

であると個人的には思います。

そして、その瞬発力をささえるのは、

即興能力や臨機応変さや柔軟性

です。

・・・ほんと随分と求めてきますよね。

もちろん、“書く”際にも、また、言ってみれば“読む”や“聴く”における理解などのあらゆる面で瞬発力は必要ですが、“話す”における瞬発力の必要性が比でないのは明らかです。

とりわけ、対話相手がいる会話においては、“話す”つまり“考えてることを口にする”は言ってみれば瞬間一発勝負以外のなにものでもありません。

話す、という瞬間一発勝負の行為においては、とっさに言葉が出てこないということは、もう一生巡ってこないかもしれないその言葉を出す機会を逃した、ということを意味します。

会話時でなくとも場合によっては致命的です。たとえば、とっさに言葉が出てこず、“うしろから狙われてるよ”とこっちを向いている人に教えてあげられなかったばっかりに、その人は、不運にも・・・というようなことも起こりえます。

しかしながら、なにか大事なことを言う瞬間単位の機会を逃した時の致命的度というか取り返しのつかなさは間違いなく非情なものですが、同時に、“話す”ことの醍醐味、といっても過言ではありません。

だからこそ、“話す”に関しては、自分なりに事前のぬかりない準備をしておいて、ある瞬間に訪れるであろう“自分の伝えたいこと”を小出しであれ臨機応変にしかもここぞとばかりにすかさず巧みに挟み込むチャンスを逃さないように、常に目をギラギラ光らせておく必要があります。

うまいタイミングで自分の思い通りにいい具合に挟み込めた時の、してやったり感はなにものにも代えがたいものがあります。実は、あれなんかズレたな、とか、ちょっと無理があったかな、という結果になることも多いっちゃあ多いのですが。

そして、こんな実際の会話や現実の世界における緊迫感に比べれば、検定の世界など気楽なもんです。検定試験では、上記のような、人命を助けそびれる私の語学力不足のせいで、なんていうまさに一生後悔しそうな致命的な状況はおこらないであろうから、ひとまず安心です(一生懸命見方を変えてみて検定ストレスを和らげるという試みの一環)。

あと、個人的感触に過ぎないのですが、ちょっと上で太字で強調しておおげさに言いすぎた、瞬発力も即興能力も臨機応変さや柔軟性も、検定の世界では、ほどほど、で大丈夫みたいです。

検定などの世界において、ここで言う“自分の伝えたいこと”とは、必ずしも自分の意見である必要はありません。たいしたオリジナリティーも求められません。相手を言い負かす必要も丸め込める必要も又は誰かを危機から救う必要もありません。

本当は賛成でない意見を自分の意見風にしても問題ないし、安い陳腐な文言を並べ立てたってかまわないし、こんなことも知ってますよアピールのしすぎでうざいと思われることもありません(思われたとしても点数に響かない、はず)。

 

◎もう一人の自分:スペイン語人格の成長

あと、上記のポイントの最後の“もう一人の自分:スペイン語人格の成長”、これは言ってみればスペイン語を話せるようになるためには避けられないことだとは思うのですが、

二重人格

になる可能性が高いのでまあまあ注意が必要です。

個人的判断では、自分もほどほどに二重人格気味です。

じつのところ、母国語以外の言語学習者のほとんどがもしかして二重人格になるんじゃないのか?と果てしなく勝手に想像してたりします。

まあ、もう一つの人格が誰にも害のない類のものならいいのですが、

  • 傲慢極まりない
  • 逆に自虐傾向がすぎてうざい
  • 口を開けば不平不満ばっかり
  • なぞに無駄にオープン

とかの悪質な二重人格になってくると周りの人の気分を悪くすることになりかねないので、出来る限り注意したいものです。

また、最終的に悪質な方の人格に乗っ取られないようにコントロールが必要です。

あ、でも、逆ならいいかもしれません。

スペイン語人格が素敵で魅力的なら、そっちに乗っ取られてしまってもいい。いいか!?

よくわかりません。

なんかずんずん話が逸れていってしまいました。

 

あとがき

ちなみに、しばらくスペイン語を話さないと、“自分のスペイン語”がみるみる錆びていきます。

びっくりするぐらい、みるみる、です。

まず、単純に、スペイン語用の口周りマッスル“スペイン語口”の衰え、あと、脳的にはスペイン語で考えたり反応したりするための“スペイン語思考回路”の瞬発力の衰え。さらには、自分の中のスペイン語人格の影も自然と薄~くなります。

そして、はっきりいって、しばらく話さない、なんていとも簡単です。

なので、スペイン語を話し続けることができる、もしくは、話し続けなければいけないような状況に自分を放り込む必要があります。

そして、その状況は、自分で作らなければなりません。

この状況作りに関しては、また別途記したいと思います。

具体的に何をやったかに関する次記事↓↓

スペイン語の話術上達なくしてDELE口頭試験攻略はありえない、と当たり前のことを綴った前回でしたが、今回は『自分の言いたいことや考えをスペイン語で口頭表現する』ための能力向上目的のトレーニングとして個人的にやったことを具体的に書いていきます。

前の記事↓↓

前回はDELE口頭試験時の心構え各種について広く浅くなぞりましたが、今回からは、口頭試験に絞った個人的“可・不可”歴や、いままで対策として実際にやったこと各種について書き始めたいと思います。


コメント

  1. あつたいはる より:

    初めまして。
    現在ドイツ語を学んでおり、1年半ほど経過しました。
    なかなかアウトプットの力が上がらず、いろいろ検索したところ
    こちらのページにたどり着きました。
    瞬間英作文は純粋なアウトプットではない、など
    非常に共感できる点が多く、ぜひアドバイスいただけたらと思いコメントさせていただきました。

    アウトプットを向上するためには、まず話すしかない、とのことですが、
    1. 具体的にどのようなトレーニングが効果的だったでしょうか?
    2. 現在暗唱にも興味を持っていますが、自分で作文したものを暗唱するのが良いか、
     それともテキストなどで役立ちそうなスキットを暗唱するのが良いか、ご意見伺えますでしょうか。

    英語と比較してやはり教材、情報が限られますので、こちらのページは本当に参考になりました。
    今後ともどうぞよろしくお願いいたします

    • adicto_1 adicto_1 より:

      コメントありがとうございます。英語じゃない外国語学習仲間ですね!
      察するに、アウトプットはアウトプットでも、主に話す、それも、“純粋なアウトプット”つまり、他の誰でもない自分の考えを口にする、という行為におけるテクニックに関してですね?いや本当にここは難しいです。実際わたしも人にアドバイスしている場合でも立場でもないのですが。
      まず、ひとつ目飛ばしてふたつ目の質問の暗唱(長文)に関してですが、個人的にもやってみて、長文暗唱するなら、“他人ネイティブの書いた正しい文章”と“自分の考えを自分の思考回路に沿って書いた自作文”の両方するべきだ、と感じました。交互にでもいいだろうし、もし初めて暗唱をするのなら、まず始めのうちはテキストもの(何度も音読して100%理解している素材がベスト)をいくつかして暗唱というトレーニングの手順にある程度慣れてから、自作文の暗唱に移っていく、という流れにするのもいいと思います。自分は後者のパターンでした。どちらにせよ、そうやって両方やっていくことで、自作文の“ちゃちさ”が無駄にくっきり引き立つので、つらいけどいい薬になります。ネイティブの文章と比較すること自体不毛なことかもしれないのですが、とはいえ目指すところはネイティブのような文章を書けるようになることなわけなので、比較して絶望するぐらいが向上心を生むのにちょうどいいぐらいだと思います。でもやっぱり暗唱する意義とか思い入れというかよくわからないけどそういうものの度合は自作文の勝ちです。どんなちゃちなものであろうが、です。
      そして、飛ばしたひとつ目の質問の効果的だったトレーニングについてなのですが、ちょうどそこらへんを中心に今後書いていこうと準備していたところで、後日別途記事にする予定なのでもう少々お待ちいただけたらと思います。

  2. あつたいはる より:

    早速のアドバイスありがとうございます!
    自作文の暗唱は以前やってみたのですが、文章が単調でつまらないんです。。
    書いたの自分なんですが。
    おっしゃる通りネイティブが書いた文章を交互に行うと、
    上質なインプットかつ自作文の向上にもつながり、相乗効果がありそうですね!

    後日記事を楽しみにしています!
    今後ともどうぞよろしくお願い致します。